生徒らの励みを糧に黒板を背にしてわれの日々に肥えゆく
――学成
声の無く春夜の夢は語られて花にも葉にも千言万語
――古月清舟
先生と花材と花器に恵まれて夢の溢るる春の饗宴
――古月清舟
剣山の上に囁き聞きながら新生願ふ麦の思ひ出
――古月清舟
ユーカリの記憶を手繰り思ひ出の囁き一つ恋を占ふ
――古月清舟
透明な壁にぶつかり悩みつつなほ奥に咲く花を求めつ
――古月清舟
耳澄ませ桜の歌を聞く今宵振りさけ見れば照れり三日月
――コトムシ
歯が抜ければまた歯が生えりぬ捨て去るも生まれ変はるを夢見て暮らす
――胡興智
容易くも抜け落ちたりし子の乳歯後釜いずこ春風の吹く
――胡興智
微笑みと共に返りし保険証大きくなったね小児病院
――胡興智